2024年9月25日水曜日

一つ一つ反芻


30年前のNY時代。当時はウォーホル、ヘリング、バスキアらが亡くなり、ポップアート界に喪失感を抱いた頃に、横尾忠則の派手な配色にサイケなデザインに魅力を感じて、てっきり横尾忠則の作品と思い込んだ作品が田名網敬一で、(へぇー、似てる・・・)が最初の印象。

それもそのはず、二人は1936年生まれ。二人ともグラフィックデザインから美術家へ。
作品の創作手法も出来上がる雰囲気も似てるから、そりゃ間違えるわ!となる。
いや、単なる私の知識不足。

「絵というのは不自由ですよ。」とご本人はインタビューで言っていたけど、作品は一気に描くとのことで「描く前に、こんな風に描こうという構想はありますよ。でも描くと(自分の)想像とは違うものができるんですね。時間をかけると余計な意識(上手に描こうとか)が入るので早く描きます。」的な内容に(えっ!?創作は緻密な計算じゃなくて感性!?)で驚く。

そしてドクロが多いのは45歳の時に入院生活を余儀なくされた際の死生観から。
当人の雰囲気は物静かそうで細身だし近所のお爺ちゃんという感じだけど、作品はどれもインパクトが大で理解しようなんて、くれぐれも思ってはいけない。作品からの圧がスゴい。

若い人が多かったのも印象的で、私が20代前半で観た時と同じ「訳が分からないコト(理解不能なコト)がカッコよく思える」時期なのかもしれないと。

50代で見ると沁みる作品もあり、アートって鑑賞する年齢でこうも違うのかと。
国立新美術館で「記憶の冒険」展が始まり2日後になくなった日本を代表するポップアートの巨匠。安らかに。
図録集を買ったから、一つ一つ反芻。

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